【Sourdough by Robin Sloan】2,機械と人間の思想

※本記事内の引用文はすべてMCD booksのSourdoughから引用して掲載しております。
※本記事はストーリーのまとめや要約を目的としたものではありません。ご興味のある方はご自分で、原著または日本語訳の本を読むことをお勧めします。

All of those were repetitive gestures, Andrei explained, currently executed by human muscles and human minds.
Repetition was the enemy of creativity, he said. Repetition belonged to robots.

(ロボットアームたちの動きは)全て反復動作だった。これらは今の所人間の筋肉と脳がおこなっている、とアンドレイは説明した。
反復は創造性の敵だ。反復はロボットのものだ。

おっと!私の手はここで止まりました。
思想、強すぎない?これが作者の思想だとしたら、この先読み進めるのを躊躇してしまうな・・・

私は「反復のリズムから何かを見出すこと=創造性」と考えているので、もしロボットが完全に人間の反復性を奪ったら残るのは創造ではなく無秩序ではないかと思うのですが・・・

さいわいこれは作者の思想ではなく、新興テック系企業のCEOに若くして就いている人物像・・・尖っていてキャッチーな演説ができる人物という描写のようです。

面白いのは、このCEOの理念を実現するために、大量の人間が大量の仕事(その多くは反復的な作業だろう)を行う展開が描かれていること。これは作者の皮肉な笑みが見えるよう。

他にもこのSourdoughにはさまざまな思想が出てきます。

Many of them were college dropouts; they had been in a hurry to get here, and they were in a hurry now to be done, and rich.

いわゆるFIREですね。Financial Independence, Retire Early.
in a hurryの反復が印象的です。
大学という”正規の道”から外れた人(college dropouts)が夢見るのがFIREというのは皮肉っぽいけど、実際のアメリカはどうなんでしょうね?

彼らはこの後もたびたび作中で”wraiths(亡霊)”という名称で登場します。日本製のジーンズと限定物のスニーカーを履いている、とのこと。
なんだかミヒャエル・エンデのモモに出てくる大人たちの21世紀版みたい。

Here, the wraiths were stripped bare: human-shaped generators of CAD and code. I tried to emulate them, but something hitched inside me. I couldn’t get my turbine spinning.

このstripped bareの意味を掴むのに時間がかかりました。ストリップ?裸(bare)?
この場合、この前に出てくる前職の同僚たちが仕事をしながらも家族のこととか本気で打ち込んでいる趣味を”まとっている”のと比較して、仕事という機能を果たす骨、筋肉、内臓しかない、何も着ていない、という比喩っぽいです。

面白いのは、主人公も彼らをエミュレートしたり、タービンを回そうとしたり、と自分のことを機械に例えようとしていることです。

主人公の回想兼自己紹介はここまで。次回からサワドゥの話になっていきます。

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